赤ちゃんがRSウイルス感染症になると、重症化して入院するリスクがあります。また、赤ちゃんの頃にRSウイルス感染症で入院すると、その後に喘息を発症するリスクが高まります。大人が家庭内で感染する場合もあります。
監修
森岡 一朗 先生
日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野 主任教授
2026年8月21日更新
重症化して入院するリスクがあります
国内では、RSウイルス関連の診断がされた2歳以下の子どもの数は、年間約12~14万人で、その約4分の1に当たる3万人ほどが入院していると推定されています1)。
入院は生後6カ月以下の乳児で多く、生後2カ月がピークとなっています1)。
健康であっても、RSウイルスには注意が必要です
RSウイルス感染症で入院した2歳以下の子どもの90%は、重症化リスク*の高い子どもではありませんでした1)。
* 早産児、気管支肺異形成症※(きかんしはいいけいせいしょう)、ダウン症候群、先天性心疾患、免疫不全のいずれかの診断が少なくとも1件あること
※慢性肺疾患とも呼ばれ、早産児に多くみられる慢性の呼吸器疾患です。
また、健康な子どもにおいて、インフルエンザによる入院率よりも、RSウイルス感染症による入院率が10倍以上高くなっていたことが報告されています2)。
重症化リスクが高くない健康な子どもであっても、RSウイルス感染症を予防することが大切だといえます。
詳しくは、「RSウイルス感染症はどうして予防が大切なの?」をご覧ください。
喘息を発症するリスクが高まります
海外の研究では、赤ちゃんの頃にRSウイルス感染症による細気管支炎で入院したことのある子どもは、そうでない子どもと比較して、その後の喘息*発症リスクが高いことが示されました3)-5)。
3歳児では21.8倍、7歳児では9.23倍、13歳児では6.8倍と、年齢にかかわらず発症リスクが高くなりました3)-5)。
* 医師による確認で気管支閉塞※(きかんしへいそく)を3回以上起こした場合、喘息とみなす
※空気の通り道である気管支が痰(たん)などにより、ふさがる、もしくは狭くなることから、息苦しさを感じる、息がしにくくなる状態のこと
また、海外の研究では、生後1年目にRSウイルス感染症にかかった子どもにおいて、その後に反復性喘鳴*(はんぷくせいぜんめい)が起こりやすいことも示されています6)。RSウイルス感染症の重症度が高いほど、反復性喘鳴が起こる割合も高くなっています6)。
* 喘鳴が繰り返し起こること
関連Q&A
大人が家庭内感染で感染するケースもあります
お子さんがRSウイルスに感染すると、お子さんのごきょうだいに加え、保護者の方や祖父母にもRSウイルスがうつる可能性があります。
大人がRSウイルス感染症になった場合、通常は咳、鼻水、発熱、だるさなど、風邪のような症状で済みます7)8)。しかし、高齢者や免疫機能が低下している方、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患がある方は、重症化して肺炎を起こすこともあります7)8)。
また、保護者の方は、ご自身が感染しなくとも、お子さんの看病のために仕事を休まなければならないかもしれません。このように、お子さんのRSウイルス感染症は、お子さん自身がつらいだけでなく、ご家族にも影響が及ぶ可能性があります。ご家族全員で相談しながら、RSウイルス感染症の予防に取り組みましょう。
予防方法については「RSウイルス感染症の予防方法」をご覧ください。
関連Q&A
参考文献
1) Kobayashi Y et al. Pediatr Int. 2022; 64(1): e14957.
2) Arashiro T et al. Influenza Other Respir Viruses. 2024; 18(11): e70045.
3) Sigurs N et al. Pediatrics. 1995; 95(4): 500-505.
4) Sigurs N et al. Am J Respir Crit Care Med. 2000; 161(5): 1501-1507.
5) Sigurs N et al. Am J Respir Crit Care Med. 2005; 171(2): 137-141.
6) Escobar GJ et al. BMC Pediatr. 2013; 13: 97.
7) Centers for Disease Control and Prevention (CDC). RSV in Adults.
(https://www.cdc.gov/rsv/adults/index.html)[2026年7月24日確認]
8) 厚生労働省. RSウイルス感染症に関するQ&A 令和8年4月27日改訂
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rsv_qa.htm)[2026年7月24日確認]
監修
森岡 一朗 先生
日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野 主任教授
1997年、日本大学医学部卒業。2018年4月から日本大学医学部小児科学系小児科学分野主任教授。専門は、新生児・小児感染症など。新生児から思春期まですべての小児の診療に取り組む傍ら、新生児医学および小児科学に関連する臨床・基礎研究を行い、学術論文を数多く発表している。日本小児科学会:小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会:周産期(新生児)専門医・指導医など。