監修
森岡 一朗 先生
日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野 主任教授
三浦 清徳 先生
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 産婦人科学分野 教授
2026年8月21日更新
RSウイルス感染症について
RSウイルス感染症ってどんな病気?
RSウイルスに感染することで生じる急性の呼吸器感染症で、2歳までのお子さんに多くみられます1)。
軽い風邪のような症状で済むことが多いですが、初めてRSウイルスに感染したときは重症化しやすいとされています2)。特に生後6カ月以下で感染すると重症化することが多く、細気管支炎や肺炎などを起こすこともあります2)。
どんな治療方法があるの?
現在のところ、国内にはRSウイルス感染症そのものに対する治療薬はありません3)。
以下のような症状に応じた治療(対症療法)を行って症状をやわらげます。
〈発熱の場合〉解熱剤の使用など
〈脱水症状や呼吸困難の場合〉点滴、酸素投与など
赤ちゃんだけがかかる病気?
赤ちゃんだけでなく、年齢を問わず誰でもRSウイルスに感染することがありますが、赤ちゃんでは特に注意が必要な病気です2)。RSウイルス感染症による入院は、特に生後6カ月以下で多いことが報告されています4)。
赤ちゃんが感染した場合のリスクについて、詳しくは「RSウイルス感染症にはどんなリスクがあるの?」をご覧ください。
風邪との違いは?
風邪もRSウイルス感染症も、発熱、鼻水、咳などの症状が出て、その後多くの場合は症状がやわらいでいきます3)5)。しかし、RSウイルス感染症の場合は、咳がひどくなったり、喘鳴(ぜんめい:気道が狭くなることで呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューといった音がすること)が出たり、呼吸困難になったりする場合があります6)。また、哺乳量や食事量が減ることもあります。
RSウイルス感染症の症状について、詳しくは「RSウイルス感染症の症状と潜伏期間」をご覧ください。
検査と診断
どんな検査をするの?
RSウイルス感染症かどうか調べる方法は色々ありますが、現在、医療現場でもっとも多く実施されているのは、迅速抗原検査です7)。迅速抗原検査では、鼻の奥に細長い綿棒を入れてぬぐい取った液や、装置を使って鼻から吸引した液などを用いて検査を行い、15分程度で検査結果がわかります。
現在、迅速抗原検査が保険適用される対象は決まっていますので、検査の必要性も含め、詳しいことは受診先の医師にご相談ください。
RSウイルスに感染したとき
熱は出る?/熱がぶり返すけれど、どれぐらいで治るの?
発熱は、RSウイルス感染症で一般的にみられる症状の一つです3)5)。38~39℃まで熱が上がったり、一度熱が下がったのに再び上がったりすることもありますが、多くの場合、症状が続くのは数日ほどで、その後は自然にやわらいでいきます。
熱があるときは、頭や脇を氷枕などで冷やすとよいでしょう。また、脱水にならないよう、水分を十分にとらせることが大切です。水分をとらせることができない場合は、医療機関への受診を検討してください3)。
RSウイルスは大人にもうつるの?
RSウイルスは、年齢を問わず生涯にわたって感染を繰り返すウイルスです2)。そのため、赤ちゃんだけでなく大人もRSウイルスに感染することがあります。
大人がRSウイルスに感染した場合、通常は風邪のような症状で済むことが多いため、気づかないうちに家族や周囲の人にうつす可能性があります2)。咳や鼻水などの症状があるときはできるだけ子どもとの接触を避ける、マスクを着用するなどの対策を取りましょう。
また、高齢者や免疫機能が低下している方、基礎疾患のある方は、重症化して肺炎を起こすこともあります2)。
咳がひどいけれど、治療法はある?
RSウイルス感染症が重症化すると、咳がひどくなることがあります3)。現在のところ、国内にはRSウイルス感染症そのものに対する治療薬はないため、治療は症状に応じた治療(対症療法)が中心になります3)。
呼吸が苦しそうに見える場合は、医療機関を受診することをお勧めします3)。
RSウイルス感染症の予防方法
RSウイルス感染症の予防接種はある?
妊娠中のお母さんに接種するワクチンがあります3)。これは、ワクチン接種によりお母さんの体内で作られた抗体(ウイルスから体を守るための物質)が胎盤を通して生まれてくる赤ちゃんに届くことで、赤ちゃんをRSウイルス感染症から予防するためのものです。
また、ワクチンとは異なりますが、RSウイルスに対する抗体を生まれてきた赤ちゃんに直接投与することで、RSウイルス感染症を予防する抗体製剤もあります3)。
予防方法については「RSウイルス感染症の予防方法」をご覧ください。
抗体製剤とワクチンってどう違うの?
抗体製剤は、赤ちゃんに投与し、RSウイルスに対する抗体を赤ちゃんに直接届けることで、RSウイルス感染症の予防や発症を抑制します。2026年8月現在、国内では3種類の抗体製剤がありますが、それぞれ対象となる方、投与回数などが異なります。
一方、ワクチンは妊娠中のお母さんに接種します。そして、お母さんの体内で作られたRSウイルスに対する抗体を、胎盤を通して赤ちゃんに届けることで、赤ちゃんのRSウイルス感染症を予防します。
予防接種の費用は?
妊娠中のお母さんが接種するRSウイルスワクチンは、法律(予防接種法)で接種することが勧められている「定期接種」となっており、原則として自己負担なしで接種を受けることができます。詳しくはかかりつけの産婦人科医にご相談ください。
赤ちゃんのRSウイルス感染症予防のために妊婦の時期にできることはあるの?
妊娠中のお母さんが予防接種を受けることで、生まれてくる赤ちゃんをRSウイルスから守るワクチンがあります3)。お母さんの体内でRSウイルスに対する抗体を作り、胎盤を通して生まれてくる赤ちゃんに届けることで、赤ちゃんのRSウイルス感染症を予防します。
予防方法については「RSウイルス感染症の予防方法」をご覧ください。
日常生活
普段の生活で気をつけることは?
RSウイルスは、家族間で感染が広がることがあります5)。日常生活では、以下のような対策を心がけましょう3)8)。
- お子さんが日常的に触れるもの(おもちゃなど)はアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒する
- 流水と石鹸で手を洗う
- アルコール製剤で手指を消毒する
- 咳や鼻水などの症状があるご家族は、できるだけお子さんとの接触を避ける
- 咳などの症状がある場合、マスクを着用できる年齢であれば、マスクを使う
- タオルの共用はしない
幼稚園や保育園は何日休めばいい?
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会作成の「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」では、RSウイルス感染症になった場合の登校・登園基準について、手洗いを徹底した上で、咳などの症状が安定し、体の調子が良ければ登校(園)可能としています9)。
幼稚園や保育園、市区町村ごとにルールが定められている場合もあるため、詳しくは通っている幼稚園や保育園、お住まいの市区町村へご確認ください。
監修
森岡 一朗 先生
日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野 主任教授
1997年、日本大学医学部卒業。2018年4月から日本大学医学部小児科学系小児科学分野主任教授。専門は、新生児・小児感染症など。新生児から思春期まですべての小児の診療に取り組む傍ら、新生児医学および小児科学に関連する臨床・基礎研究を行い、学術論文を数多く発表している。日本小児科学会:小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会:周産期(新生児)専門医・指導医など。
三浦 清徳 先生
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 産婦人科学分野 教授
1995年、長崎大学医学部卒業。2019年4月から長崎大学大学院医歯薬学総合研究科産婦人科学分野教授。産婦人科医として、妊娠・出産に関わる母体および胎児の管理のほか、不妊症や不育症への対応、婦人科腫瘍の診断・治療、女性のヘルスケア診療などに従事。日本産科婦人科学会:専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会:周産期(母体・胎児)専門医・指導医など。
参考文献
1) 国立健康危機管理研究機構. IDWR 2025年第9号〈注目すべき感染症〉 RSウイルス感染症
(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2025/09/article/index.html)[2026年7月24日確認]
2) 厚生労働省. RSウイルス感染症
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rsv.html)[2026年7月24日確認]
3) 厚生労働省. RSウイルス感染症に関するQ&A 令和8年4月27日改訂
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rsv_qa.htm)[2026年7月24日確認]
4) Kobayashi Y et al. Pediatr Int. 2022; 64(1): e14957.
5) 国立健康危機管理研究機構. RSウイルス感染症
(https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/respiratory-syncytial-virus-infection/index.html)[2026年7月24日確認]
6) 堤裕幸. ウイルス 2005; 55(1): 77-84.
7) 日本小児感染症学会編. 日常診療に役立つ 小児感染症マニュアル2023. 2023年, 東京医学社.
8) こども家庭庁. 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)(令和5年5月一部改訂)10月一部修正
9) 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025年4月改訂版